こんにちは!りお歯科クリニック歯科医師ブログ!
あっ!と言う間に3月ですね!歯みがきしていますか?
皆さんは、毎日の歯磨きや口腔ケアが全身の健康にも大きく関わっていることをご存知でしょうか?
口腔ケアは、虫歯や歯周病を防ぐだけでなく、風邪やインフルエンザ、さらには糖尿病やメタボリックシンドローム、認知症といった病気とも深い関わりがあります。
今回の歯科医師ブログは歯科医師の視点から「口腔ケアと全身の健康」について、それぞれ書いてみました。
1. 口腔ケアと風邪・インフルエンザ予防
口の中には数百種類の細菌が存在し、これらがバランスを保って健康を維持しています。
しかし、歯磨きや舌清掃が不十分だと、細菌が増殖し、口腔内の細菌バランスが変化して、歯周病や口臭の原因となり、それによって、全身の健康にも影響を及ぼします。
特に、歯周病菌は口腔内に炎症を引き起こし、バリア機能を低下させます。
この状態が続くと、ウイルスが体内に侵入しやすくなり、風邪やインフルエンザにかかるリスクが高まります。
また、口腔内の細菌が唾液を介して気道へ侵入すると、肺炎の原因となる可能性も指摘されています。特に高齢者では誤嚥性肺炎のリスクが高まるため、口腔ケアの重要性が増してくるという訳です。
2. 口腔ケアとメタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームとは、肥満、高血圧、高血糖、高脂血症などが組み合わさった状態を指し、動脈硬化や心血管疾患のリスクを高めます。
近年の研究では、歯周病がメタボリックシンドロームの進行に関与している(入口である)ことが明らかになっています。
これは、歯周病による慢性的な炎症が、インスリンの働きを妨げ、血糖値をコントロールしにくくすることが一因とされています(参考:J Clin Periodontol, 2013)。
ダイエットのために、「野菜を最初に食べて次にタンパク質、最後に糖質をとりましょう!」と、言われるのは血糖値の急激な上昇を防ぐことで、脂肪を蓄えにくいサイクルを作るためです。
その血糖値がコントロールされにくくなるという事は、太るサイクルから抜け出しにくくなってしまうということです。
また、歯周病菌が血流に乗って全身に拡散することで、血管の炎症を促進し、高血圧や動脈硬化のリスクを高める可能性が示唆されています。
したがって、日常的な歯磨きや定期的な歯石取りなどの歯周病ケアは、メタボリックシンドロームの予防策としても重要です。
3. 口腔ケアと糖尿病
糖尿病と歯周病は「双方向性の関係」にあります。
糖尿病の患者さんは高血糖により免疫機能が低下し、細菌感染に対する抵抗力が弱まるため、歯周病が悪化しやすくなります。
また、歯周病が進行すると炎症性物質が分泌され、血糖値のコントロールが難しくなるという悪循環が生じます(参考:Diabetes Care, 2018)。
さらに、糖尿病の合併症として、神経障害や血流障害が口腔内にも影響を及ぼし、唾液分泌の低下や口腔乾燥を引き起こすことがあります。
その結果、虫歯や口臭のリスクが高まり、食事の楽しみも損なわれることになります。
上記説明したように、糖尿病の管理には適切な口腔ケアが欠かせません。
りお歯科クリニックは公益財団法人日本糖尿病協会(JADEC)に歯科医として登録しておりますので、受診や歯周病ケアの際に糖尿病手帳をお持ちいただければ、医科と歯科で連携して糖尿病の進行を抑える治療計画を立てさせていただきますので、ぜひお声がけください。
4. 口腔ケアと認知症
近年、歯周病と認知症の関連性が注目されています。
歯周病菌が血流を介して脳に達し、アルツハイマー型認知症の発症リスクを高める可能性があることが示唆されています(参考:J Alzheimers Dis, 2019)。
脳に非常に近い口腔内での炎症が悪影響を及ぼすと言われると納得ですよね。
噛むことは脳の血流を促進し、一回の咀嚼(噛む)行為で脳への血流が約3.5㏄増えるとも言われていることから、神経細胞の活性化を助けると考えられています。
そのため、歯を失うことは認知機能の低下を引き起こす要因となりえます。
日本の健康保険請求データを用いた研究では、歯の数が少ない高齢者がアルツハイマー病にかかりやすいことが示されています(参考:PLOS ONE「日本の健康保険請求データベースと特定健康診査データベースを使用した歯の数とアルツハイマー病の関連性」)。
また、東北大学大学院の研究チームが70歳以上を対象に行った調査でも、認知症の疑いがあるグループが残存歯平均9.4本に対して、疑いのない健康な脳のグループは平均14.9本だったそうです。
このように歯周病菌だけでなく、歯を失い噛む力が低下する事が認知症のリスクを高める可能性があります。
そのため、咀嚼能力検査などの歯科検診により自身の噛む力を把握して、口腔機能を維持するトレーニングを行う事により認知症予防ができますので、積極的に口腔機能の検査を受けていただきたいです。
口腔ケアの実践ポイント
以上のように、口腔ケアは全身の健康と密接に関わっています。
では、具体的にどのようなケアを行えばよいのでしょうか?
• 毎食後の歯磨きとフロスの使用:
歯周病菌の増殖を防ぐために、最低でも朝昼夕食後の歯磨きに加え、デンタルフロスを活用しましょう。
※可能であれば起床後・朝昼夕食後・就寝前の5回歯磨きがおすすめです!
• 舌の清掃:
舌の表面には細菌が多く付着しているため、専用の舌ブラシを用いて清掃すると口臭予防にもつながります。
最近はドラッグストアでも気軽にお買い求めできますので気軽に試してみてください。
• 洗口液の活用:
お口の中の面積は歯の周りが25%で残りの75%は舌や咽頭などの粘膜になります。
歯みがきなどと併用して殺菌作用のある洗口液を使用することで、細菌の増殖を抑える効果も期待できますので積極的に取り入れてみてください。
• 定期的な歯科検診や歯周病ケア:
歯科医院でのプロフェッショナルケアを受け歯科医師や歯科衛生士に口腔内をチェックしてもらうことで、歯周病の予防や虫歯の早期発見が可能になります。
また、当院では口腔機能低下症と診断された患者さまには、口腔機能を改善するトレーニング動画などを、お渡ししております。
ご自宅でも一緒にトレーニングを頑張りましょう!
• 噛む習慣を意識する:
食事の際によく噛むことは、唾液の分泌を促し、消化を助けるだけでなく、免疫物質が分泌され細菌の増殖を抑制する事も期待でき、脳の活性化にもつながります。
歯ごたえのあるものを積極的に食べて良く噛む習慣をつけていただきたいです。
まとめ
口腔ケアは、虫歯や歯周病の予防だけでなく、全身の健康を維持するためにも非常に重要です。
特に、風邪やインフルエンザの予防、メタボリックシンドロームや糖尿病の管理、そして認知症の予防といった点でも、日々の歯磨きや歯科医院での定期的なケアが大きな役割を果たします。
皆さんも、健康な体を維持するために、今一度ご自身の口腔ケアを見直してみてはいかがでしょうか? ぜひ、定期的な歯科検診や歯周病ケアを受ける習慣をつけて、全身の健康を守っていきましょう!
それでは!
次は桜満開の時期にお届けする(予定の)歯科医師ブログをお楽しみに!
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